「もう、すごかったんだから」

興奮した千華が身振り手振りを入れて、レイラとジンに夕方の出来事を説明している。

武はあえて口を挟むことなく、黙って目の前にある食事を片付けていた。

「それにしても武って強かったんだね。剣道とかやってたの?」

目をきらきらと輝かせて千華が訊いてきた。

その問いに武が答える前に、ジンが横から口を挟む。

「そりゃそうだよ。なんていったって、お侍様だもんな」

「ジン」

その先を遮(さえぎ)るように、レイラが鋭く名前を呼んだ。

はっとした様に、ジンが武の顔を見て「悪い」と短く呟いた。