「千珠、お昼行っていいよ」

店内の壁にかかっている時計を見て、由加里が言った。

パンツと半そでのシャツを買っていったカップルを見送って戻ってきた千珠は、

軽く頷いて財布を取りに奥の部屋に向かった。

半月ほど前に社割で買った鞄ごと脇に抱え、

「行ってくるね」

と由加里に微笑みかけて外に出ようとする。

「あんた今日もあの定食屋に行くの? よく飽きないね」

呆れたように由加里が声をかけてきた。

千珠は振り返って、

「ちょっとね」

と言葉を濁し、足早に駅の方に向かった。