「千珠(ちず)、お昼行ってきなよ」

店長の由加里(ゆかり)がレジの中から声をかけた。

「うん、じゃあお先に」

たたみかけの水色の半そでシャツをハンガーにかけて、バックルームに鞄を取りに行くと、レジの前を抜けて外に出る。

ちょうどお昼を少し過ぎた頃で、店の中には由加里を残して、誰一人いなかった。

食事を取るにはちょうどいいかもしれない。

由加里はウィンドウ越しに目が合うと、肩の辺りで小さく手を振って見送ってくれた。