次の日、目を覚ますと隣に千華の姿はなかった。

キッチンにも部屋にも、どこにもいなかった。

レイラの姿も見えないところをみると、ふたりでどこか出かけたのだろう。

ただ単純に、そう思っていた。

ジンは部屋のベッドで鼾(いびき)をかいて眠っていた。

床に日本酒のビンが何本か転がっているので、昨日もそうとう飲んだはずだ。

あの約束はいったいどうなってしまったのだろう。

武は階段を降りて、一階の電話機から千珠の携帯を呼び出した。