千華は噴き出したジンをそっとにらんだあと、

「できたら呼びに行くから」

小さく呟いて、冷蔵庫に顔を突っ込んだ。

部屋に行っていろ、ということなのだろうか? 

そう思い、武は部屋に戻ってベッドでタバコを吸っていた。

灰皿にタバコを押しつけると、千珠に貰った黒い物体が目についた。

武はそれを手に取り、光に透かしてみた。

そういえば、これってなんなんだ?

千華に訊いてみようと思い、再び階段を降りる。

キッチンに入ると、テーブルにはレイラの姿があり、その前に千華が立っていた。

今度はレイラに、買ってもらった洋服を自慢していたらしい。

武と目が合うと、千華は恥ずかしそうにキッチンへ駆けていった。

それを見て、レイラが意味深な瞳を武に向ける。

何を話していたのかは知らないが、ジンが笑っているところを見ると、きっとろくでもないことだろう。