そう思っていると、後ろから千華が武の腕に抱きついて言った。

「誰、この人たち?」

千華の声や瞳には、明らかに警戒心が含まれていた。

その証拠に、腕をつかむ手に力がこもる。

武は由加里の視線を無視して千珠を見た。

「こっちがこの前の名刺の人。もうひとりはさっき聞いたとおりだ」

「ふーん」

野良猫のような警戒を解くことなく、千華が二人を順番に見た。

由加里と千華の視線が定規で引いたようにまっすぐぶつかり、複雑に絡み合った。

由加里の顔には、生意気なガキ、という表情が現れ、千華の顔には、なんなのこのおばさん。

そんな感じだった。