「ねえ、聞いてるの?」

由加里の言葉で異空間が飛んで言った。

きっと、元の世界に帰っていったのだろう。

「うん」

千珠は頬をぺちぺちと叩いて頷いた。

「なんでそんなにテンパッテルのよ?」

「だって昼休みから帰ってきたら、武がお店にいるなんて思ってもいなかったから」

「でも、あんたが呼んだんでしょ?」

「そうだけど、連絡もなしに来るとは思ってなかったもの」

「とにかく中に入るよ。いつまでもここにいるわけにはいかないでしょ」

由加里が店に入っていった。

仕方なく、千珠も背中に隠れるようにしてあとを追う。