「あいつが千夜だって言いたいのか?」

「さぁねぇ、あたしにはわからないよ」

「だって、あいつの胸にホクロはないんだろ?」

「あんた自分で確かめたことあるのかい?」

心底楽しそうに微笑むレイラの顔を見て、武は走り出す。

階段を一段抜かしで駆け上がり、

千華の部屋の前に行くと、ノックもなしにドアをはね開けた。

ベッドに転がって雑誌をめくっていた千華が、驚いて武を見る。