★ ★ ★ 特等席に座っている瑠諏の前で折り目がついた真っ赤な幕がせり上がった。 いつもならなんの障害もなく舞台を見れるのだが、今回は霞がかったように映像の粒子が粗かった。 瑠諏は目を凝らして舞台を見詰めた。 背が高くて栗色の長い髪をした若い女性がキョロキョロ周りを気にしている。 土手の一本道を小走りで進んでいる後方からカゴ付きの茶色い自転車に乗った男がジグザク走行しながら追ってきた。 男は赤いBというロゴが入った帽子をかぶっていた。