「奥さんを離すんだ!」 サトウが銃を向けながら声を張り上げる。 「頼む。一緒に逝かせてくれ」 武の手は震え、銃がカタカタ揺れている。 「心中はたんなる殺人ですよ」 瑠諏の表情は冷ややかだった。 「う、うるさい!」 武がトリガーに力を加えようとしたとき、瑠諏が信じがたい俊敏な動きで武の背後に回った。 そして、耳元へ静かに脅迫した。 「首筋に針で刺したような傷痕を残すだけで吸血鬼の烙印を押すことができます。やめてほしかったら銃を捨ててください」