「どこへ?」 刑事課とは逆方向に歩いていくサトウの背中へ原田が声をかける。 「決まってるじゃないか。瑠諏を捜しに行くんだよ」 サトウの言葉には凛とした決意が感じられた。 警察署から外へ出たサトウは夜空に向かって思いをはせた。 瑠諏も同じ夜空を見ているのだろうか? それとも血を舐めて淫らな人間の世界を観客席から見ているのだろうか? ひょっとすると吸血鬼のアイデンティティーを探しに夜の街を彷徨っているのかもしれない。