吸血鬼は淫らな舞台を見る



 舞台を見せない?


 なぜ、そんな真似をするのかわからない。


 再び舞台へ引き返せば体力が戻り、叩きのめして現実世界の瑠諏にダメージを与えて血を吸うのをやめさせることだって可能だったはず。


 それをあえてしないというのは理解不能だ。


 瑠諏はふに落ちないまま由貴を抱きかかえた。


 すると、由貴が眠そうな顔でおぼろげに目を開ける。


「やぁ」

 瑠諏はなぜかこぼれそうになる笑顔を隠すために声をかけた。