吸血鬼は淫らな舞台を見る



「警察は無力よ。どうせまた連邦捜査官に連れていかれるわ」

 由貴は眉毛を下げ、いまにも泣きそうな顔になる。


「警察を呼びますからそれまで待ってください」


「嫌よ」


「それなら警察署まで付き添ってあげますよ」


「それも嫌」

 由貴が子供のように駄々をこねるので、瑠諏はお手上げとばかりにため息をもらす。


 実力行使という言葉が脳裏をかすめると、由貴が思わぬことを言い出した。


「ねぇ、あなた親を知らないんでしょ?」