薄暗い階段が地下へと伸びる自分の棲家の前で、見慣れぬ影を見た瑠諏は立ち尽くすしかなかった。


 入口のドア付近まで光が届いておらず、黒い影の正体がわからない。


 瑠諏は事件現場から帰ってきたばかり。


 AK地区LJ通り53番地。


 村田自動車修理工場には男らしき焼死体があった。


 らしきというのは焼け縮んだFBIの写真付き証明証が見つかったからだ。


 サトウは半分が茶褐色になった写真、焼け残りの黒いスーツの生地に見覚えがあり、由貴を連れ去った連中の一人に違いないと言っていた。


 炭化して真っ黒コゲの死体からDNAを採取することは不可能。