「あんな男の言いなりになって悔しくないの?」 「それがおれの仕事だ」 真面目な答え方からすると、この男に色仕掛けなどは通じない。 細身の男はポリタンクを持ち上げ、由貴の頭にかけようとする。 完全に手がふさがっている。 「ねぇ、知ってる?ガソリンをポリタンクに入れて買い置きしておくのは消防法で禁じられているのよ」 細身の男が「えっ?!」と声をもらしたとき、由貴は爪先立ちでクルッと回転すると、鎖で括られた椅子を体ごとぶつけた。