吸血鬼は淫らな舞台を見る



「今日は坊やになんて名乗るの?」


「ジョン・ドゥ」


「それは傑作ね。私はジェーン・ドゥにしようかしら」


「帰ってくるまで始末しておけよ」

 女がおどけても剣未は無視をして細身の男に声をかけた。


 車が出て行って建物内には由貴と細身の男だけが取り残された。


 細身の男がさっそくポリタンクのキャップを外した。


 ガソリンの臭いが由貴の鼻をかすめる。


 もう一度彼に会いたい。


 彼の記憶から私が消えてしまう前に……。