そんなマスターを横目で見て“あなたの血もいつか吸ってア・ゲ・ル”と、由貴は心の中で誓っていた。
その日、いつもは埃をかぶっているビリヤード台で玉を突く男たちがいた。
「血を舐めるとその人の過去を見ることができる吸血鬼がいるんだよ。この前、おれの腕をビール瓶の破片で切って血を舐められて危うく吸血鬼にされるところだったんだぜ」
そのうちの一人は酔いが回り、仕事の愚痴をビリヤードの対戦相手にこぼしながら、キューを突くことによってストレスを発散させていた。
最初はなんのことを言っているのかわからなかったが、AK地区で刑事をしていることなどペラペラ喋りはじめたので察しがついた。



