由貴が瑠諏のことを知ったのは場末のバー。
一人寂しく酒を飲む芝居をしながら、生きていく価値のない男が来るのを待っていた。
細長いスペースにバー・カウンターと店の奥に一台だけビリヤード台があるこぢんまりとした昔懐かしいプール・バー。
その店のマスターは顎に白髭をたくわえ、真っ白いナプキンでキュッキュッと音を立ててグラスを磨いていた。
由貴はそのマスターと体の関係を保って生きていく価値のない男の情報と、バーを待ち合わせ場所として使わせてもらっていた。
「今日の男は丸2だよ」
丸2とは二枚目のことで、無理やり若者言葉を使って会話を弾ませようとしている。



