汗ばんでいる濡れた手のひらがふくらはぎから上の方へ移動してくる。 手摺に手首、椅子の脚に足首を鎖で固定されているものの、由貴が顔を逸らせて体重を背凭れにかけると椅子が傾いた。 「ちゃんと押さえてろ!」 「は、はい」 細身の男が慌てて椅子を押さえた。 声からすると“アイスホッケーのマスクだ”と教えてくれたのはたぶん細身の男。 「人間だけに楽しませるにはもったいない体だ」 「やっぱり吸血鬼なのね」 由貴がキッと睨む。