「なにか残ってる?」 女の問いかけに男は黙って首を横に振った。 「今日はメモや体になにかを書いている余裕がなかったみたいね」 男は軽く頭を下げて瑠諏の棲家を出て行った。 ドアが完全に閉まるのを確認すると女はフフフ……と笑った。 女の目は湾曲し、ある目的を達成しようとする喜びに満ちていた。 音を立てずに瑠諏のズボンのチャックを静かに下ろして愛しそうに見詰めた。 「本当はキスしたいけど、舌が歯に当たって吸血鬼にされたら困るから我慢するわね」