これだけの量があるということは事件解決の報酬として受け取っている公算が高い。 誰から? 取引相手の名前、声、顔などまったく記憶がない。 重要な記憶ほど自分は忘れてしまうらしい。 いや、新しい記憶ほど消えてしまっている気がする。 まるで風に流されたシャボン玉のように、すぐにパチンと割れて薄い膜に保護されていた記憶は飛んでいく。 誰から依頼されて警察に協力すようになったのか思い出せない。 腕にある刺青のペイントで自分の居場所はあるが、記憶の居場所は脳にはない。