吸血鬼は淫らな舞台を見る



「あなた自分がどうしてここにいるのか覚えてないの?」

 篠田レミがやや不満そうに訊くと瑠諏はうなずいた。


「困ったわねぇ」

 テーブルに手のひらをつけて指でトントンと叩き、考え込む。


「血を舐めると変な映像を見るというのは本当みたいね。現実とその映像の区別がつかなくなって記憶が混乱してるのよ」


 篠田レミの説明を瑠諏は口を半開きにして聞いている。


「成長していけばそのうち記憶の混乱も減ってくると思うけど……私は医者じゃないからいまの言葉をあまり信用しないでね」


 微笑んだ篠田レミに気を遣うように瑠諏は作り笑いを返す。