吸血鬼は淫らな舞台を見る



「優しいのね。わざわざ声を出してキックをしてくるなんて」

 由貴が怪しく微笑む。


「無益な争いはできるだけ避けたいんです」


「その考え甘いわよ」

 由貴は牙を剥いて再び襲い掛かろうとする。


 瑠諏は畳を思い切り踏んづけて数十年分の埃を舞い上げ、由貴の視覚と呼吸器官を一時的に奪う。


「ゴホッ……」

 由貴が目を閉じて咳き込んだ瞬間、瑠諏は首筋へ乱杭歯を突きつけた。