「あなたはこっちよ」 由貴が手荷物を運ぶように宮路晋吾を引きずっていく。 壁の角にある柱の出っ張りを指で引っかけて踏ん張ってもどうにもならず、晋吾はもがくことしかできない。 由貴はL字型の廊下を進み、ささくれた畳が敷かれている和室の部屋に連れ込んだ。 「これまで尽くしてきたご褒美だと思って覚悟してね」 迫ってくる乱杭歯を見て宮路晋吾は顔を背けた。 「地に落ちた吸血鬼は惨めですね」 静かな声に反応して由貴はため息をつきながら振り向いた。