吸血鬼は淫らな舞台を見る



 原田は両目を閉じてトリガーを引いた。


 白い漆喰の壁に飛沫血痕が張り付く。


 由貴の体が揺れた。

 左肩を一瞥してから原田のほうを見た。


「あら、さっきの刑事さんじゃない。後をつけてきたの?」

 痛みを感じてないのか撃たれた箇所を手で押さえることもせず、由貴はケロッとした顔で尋ねる。


「や、やめるんだ!」


「吸血鬼を見るのは初めてじゃないのに動揺してるのね」

 由貴は狡猾なキツネのように目を細くして舌なめずりをする。