「あぁ~あ、人間と結婚して損した。用済みね」 由貴は素行が悪くだらしない若者口調で愛想が尽きたことを打ち明けた。 「おまえ……本気なのか?」 宮路晋吾は怯えているが、言葉には少し未練が残っているように思える。 「吸血鬼は決断が早いのよ」 由貴の眼が赤く光り、整った顔立ちから不釣合いな乱杭歯が口の両端から伸びた。 「や、やめろ!」 「あなたの血は一滴残らずきれいに飲んであげるわ」 由貴の言葉はなんの慰めにもならず、宮路晋吾の顔を余計に強張らせた。