吸血鬼は淫らな舞台を見る



 なにも正直に答えることはないのにと思いつつ、サトウは部屋の中を物色する。


「どうして真っ黒な服を着てるんだ?」

 あらかじめ答えを知っているかのような訊き方をして倉成は構える。


「吸血鬼だからです」と言ったあと、瑠諏はフフと鼻で笑った。


「本物の吸血鬼……」


 倉成は体を壁に擦り付けて瑠諏を通そうとしたが、ロングコートの裾が触れると顔を引きつらせた。


「逃げたら咬みますよ」

 瑠諏のひと言で倉成は動けなくなった。


 サトウがトイレ、バス、押入れの中を見て宮路晋吾がいないか調べたが、人間を隠すスペースはなくガラクタだらけ。