「いつまでですか?」

 原田は不満そうに尋ねた。


「おれが連絡するまで宮路家から離れるな」


「は、はい」


 不服そうな返事をする原田から瑠諏はブラシについている毛を受け取った。


 サトウは芝居で受け取ったと思っていたが、倉成のマンションに向かう途中の車内で、瑠諏は髪の毛の先から毛根部分まで丁寧に舐めた。


「どうだ?」と、サトウが尋ねると瑠諏は渋い顔をして言った。


「無精な舞台しか見れませんでした。頼りはやはり倉成仁だけです」