「夫はKLT銀行に口座を持ってましたから間違いないと思います。どこに落ちていたんですか?」 カード表面の凸凹した夫の名前をなぞりながら由貴が訊く。 「KLT銀行のAK地区支店です」 いろいろなことを聞かれると思ったが、キャッシュカードを愛しそうに見詰めている由貴を見てサトウはしばらく静観することにした。 「旦那さんは料理などをしますか?」 瑠諏が沈黙を破る。 「いいえ」 由貴は首を振った。 「自分で果物を切ることもないんですか?」 瑠諏が再度確認する。 「しません」