原田の指摘した可能性はあまりにも低いと思われるが、サトウは首を捻りながらも応じた。

「血液銀行の警備は厳重だ。まず持ち出すことなんて考えられないが、盗めたとして血を撒くために、そんな危険を冒すメリットがどこにある?」


「そうですね。これは単純な悪戯ではないですね」


「まずおれたちがやることは行方不明者の宮路晋吾さんを探すこと。いまのところ手掛かりは倉成仁だけだ。原田、血液銀行に倉成仁の身分照会を要求してくれ」


「はい」

 原田はすぐに携帯を使って刑事課の居残り組に身分照会請求書を作成させ、電子書類を上司に送信し、決裁を求めた。


 同時に所轄管外にも捜査状況が情報開示される。