「早めに包丁を舐めていれば、サトウさんを追い込むことにならなかったかもしれません」 「気にするな。おまえが自己陶酔していたら村尾になにをされていたかわからない」 「実は包丁に自分の血がついていたのでためらってしまったんです」 サトウが気遣っても瑠諏の謝罪は続いた。 「そうなのか」 汚い場所についた血を平気で舐めていたのに、自分の血は苦手なんだなと、サトウは笑い話の種としか認識できなかった。