「衛生局の身分証を見せろと言われたらどうするつもりだったんだ?」 「見境なくお婆さんを咬んでいたかもしれません」 「まったく……」 サトウは呆れながらも心の中では笑っていた。 瑠諏が目の色が変化するところを民間人にあまり見られたくないとのことで、車を少し走らせて民家が点々とあるだけの寂しい場所まで移動した。 「この辺でいいか?」 「はい」 瑠諏はペンケースから取り出した赤く染まった綿棒を、キャンディーでも舐めるみたいにペロリと舌で撫でた。