「おまえ、そんなこと言って、どうやって……」
瑠諏は答えることなく、それまでの無表情が嘘のように柔和な笑顔でお婆さんに歩み寄った。
「私は衛生局の者です。心して聞いてくださいね。7年前にここのお店で帽子を買った人が珍しい病気かもしれません。大丈夫だとは思いますが、念のためにお婆ちゃんの血を採血したいんだけどいいかな?」
瑠諏は笑顔を崩さずに返事を待った。
お婆さんの目には驚きと不安が混ざり、どうしたらいいのか迷っている。
「心配しなくていいよ、お婆ちゃん。注射器は使わないから。針を指にチクッと刺して綿棒で吸い取るだけだから」



