宗次朗はあたしを救ってくれたことは知らない。










あのとき、本気で車の前に飛び込もうと思い立ち上がろうとした瞬間に、肩に手を置かれたって、多分知らない。










どうして雨でびしょ濡れで上履きのままで、泥だらけで道端に座り込んでいたあたしを拾ってくれたのか。










分からないけど、今あたしが生きているのは宗次朗のおかげだといっても過言ではない。













けど、それも終わりだろう。