あなたが教えてくれた世界




「晩餐会の時の動きが良かったからだ。突然の非常事態に動じる事なく、冷静に臨機応変に対応出来ていたそうだな」


「……ありがとうございます……」


レオドルは本格的な説明に入った。


「ルートは、襲撃を予想して大通りを迂回した田舎道や山中を通る事となっている。目的地はプラニアスのセントハーヴェス侯爵家。期間は短くて一ヶ月半だな」


「一ヶ月半……」


これはますます難易度が高そうだ、と彼らは感じた。


「わかっていると思うが、これは生半可な覚悟じゃ務まらない任務だ。よく考えて結論してくれ。……だが私は、君らなら出来ると信じている」


最後の言葉の時だけ、レオドルの目が優しくなる。


「それでは、次の時間はサバイバル演習だ。心を切り替えて臨んでほしい」


そう言って話を切り上げるレオドル。そのまま演習場の方へ向かおうとする後ろ姿をイグナスは呼び止めた。


「待ってください」


その強い声に、レオドルもカルロも驚いた様子で振り向く。


「受けます、俺」


彼はきっぱりと言った。


レオドルはいくらか気勢をそがれた様子で言う。


「……そ、そうか?しかし、今言った様にそれなりの覚悟が必要なのだが……」


そう言ってみるものの、彼の様子に変化はない。


レオドルは落ち着いてから、鋭い声で問った。


「理由は?」


「大丈夫だと見込んでもらってるから、行ってみたいんです。ここで勉強しているより、実戦で経験を積んだ方が良いと思うし」


レオドルはそれを受け、もう一度確認する様に問う。



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