あなたが教えてくれた世界




ブレンダは、冊子を軽く掲げて、言った。


「感謝するぞ、クロース」


彼女の言葉にカルロは一瞬目を見開き、それから得意げな表情になった。


「聞いたかイグナス?ブレンダがああ言ったんだぞ?お前も感謝しろ!」


「感謝はするが……、いや、あれは一歩間違えばただのナンパだぞ……」


「……それは私も否定しない。それから気安く名前で呼ぶなと言ったはずだ」


一転冷たい声になったブレンダに若干怯んだ表情をしつつ、カルロは反論をこころみる……が。



「待たせたな」

「ただいま戻りました」



オリビアと、その荷物を抱えたハリスが二人で帰ってきて、それは休戦となった。


「おかえりなさい」


「変わったことはありませんでした?」


買ってきたものを荷台につみこみながら、オリビアは聞く。


「そう、ですね。特に関係はないのですが、すこし客が揉めていたくらいですね」


すこし迷いつつ、ブレンダは答えた。


するとオリビアは、先ほどよりすこし声を落としてまた聞いてきた。


「……アルディスの、様子は?何か変わったことはなかった?」


カルロのことだろうか。やはり、近寄るのを禁止しといてよかった。