その後ろ姿をゆっくり見送ったあと、悠々とした足どりで、カルロは帰ってきた。
「お前こういうの得意だよな……」
イグナスが半分呆れた様な声を出すが、カルロは胸を張り、先ほど彼女達から貰った冊子をブレンダに渡して言う。
「得意だよ?誉めてくれてんの?」
「……でもナンパにしか見えなかったが……」
「何?情報いらないの?あ、わかったイグナス羨ましいんだろー」
「羨ましくねえよ……」
いつもの調子のカルロに溜め息をつくイグナス。
一方ブレンダは、カルロから渡された冊子を見ながら、少し驚いていた。
(あいつ、ただのお調子者かと思ってたが……)
人好きのする笑顔と態度で、怪しまれることなく、しかも後腐れなく情報を得るさまは見事だった。
おそらく相手が女の子でなくとも、器用にカルロは情報を得られる。そんな気がした。
あんな風に態度をやわらかくして、人と上手く話す技量は、彼女にはない。
……ナンパのようで、本人がいかにも嬉しそうにしていたのには呆れるが。
が、ここは認めてやろう、と。彼女はそう思った。
「……情報、助かった」
彼女が声を発すると、まだ言い合い──一方的な気もするが──を続けていたカルロとイグナスが同時に振り向いた。
「どちらも怪しい匂いがすると思ったんだ。とくに馬車の男の方は貴族ならこの先関わることもあるかもしれないしな……」


