「申し訳ありません……そこまでは知りません。この市場は色んな街と近いから、どこから来ているかまでは……わかりません」
「そうか……ありがとう。彼はどれくらいの頻度でここに?」
「不規則だから確かではないけれど……一月に五回くらいは来ているかしら?」
「ここ最近はもっと多いわ。週に二回くらい来ているかも」
「以前はあまり来なかったのに……二ヶ月くらい前からかしら」
「……多分、ここを通って誰かに会いに行ってるのだと思います。もしかしたら女の方かも……」
「なるほど……」
カルロは少し考えて、また口を開いた。
「それじゃ、もうひとつ……あんな風に揉め事を起こす様になったのは、いつから?」
「それも、二月ほど前からです」
カルロは満足した様に頷いた。
「ありがとう。十分だ。呼び止めてしまってすまない」
お得意の爽やかな笑顔で礼を言うと、何故か彼女たちは寂しそうな顔をして、それから一歩カルロに歩みより、言った。
「礼には及びません……それより、この市場には初めてですか?良ければご案内しますわ」
「こちらには何の御用で?何かお目当てのものでもあります?」
カルロは怯みもせず、慣れた様子で断る。
「気持ちは嬉しいけど、仕事中だからね……。もし、僕と君たちの間に、何か運命の引き合わせがあるのなら、また会った時にお願いしようかな」
その言葉と甘い笑顔に、彼女たちは一言も文句を言わず、むしろ嬉しそうに、去っていった。


