あなたが教えてくれた世界




こちらの護衛に関係がないとも限らない。揉めていた主人はどうやら、戦争を批判していた者のようだったし。


イグナスはよくわからないが、最近の貴族は戦争反対派と賛成派に大きく分かれているらしい。アルディスの家がどちらかは知らないが、そうなると無関係ではないのだろう。


そう言えば、変な冊子を配りながら、戦争に反対するために反抗しよう、と呼び掛けている人々もいたなあと思い出す。


どうやら先ほどの主人は、そんな人々のうちの一人だったらしい。どうりで逃げ足が早いはずだ。後ろめたいことがあるのだから。


そう、頭で色々と推測していた、その時……。


「そこのお二人さん?ちょっとそのお話、聞かせてもらっても良いかな?」


不意に彼女たちにかけられた、能天気な声。


「クロース……」
「……あいつ……」


ブレンダとイグナスの口から、同時にそんな脱力した呟きがもれた。


彼女らに話しかけたのは他でもない──カルロだった。


「なんですか?」
「わたしたちで、良ければ」


しかも、てっきり嫌がられるのだろうと思っていたが、予想外に声をかけられたことが嬉しそうな反応を示している。


確かに……カルロは顔もなかなか整っているし、騎士団から支給された正規騎士の制服を着(崩し)ている。


この集団だと煙たがられているが、外でやるとなかなか受けがいいようだ。


カルロはこちらに、『任せろ』と言うような視線を向け、彼はとっておきの笑顔を浮かべた。


「……ええっと、さ?少し話が聞こえちゃったんだけど、あんな騒ぎがよく起こるって本当?」