あなたが教えてくれた世界




「え、ちょ、え!?俺まだ何もしてないけど!?」


「している!!……それにまだとはなんだまだとは」


「……え、それは」


「黙らんか!!」


再び、今度は腰の長剣が飛んできそうな予感がしたのでカルロは二三歩あとずさる。


最初は戸惑っていたアルディスだが、今は違う意味で圧倒されている。


横でくすりと言う音がして、見てみると同じように二人の様子を眺めていたイグナスが少しだけ笑っている。


……こんな表情もするんだ。


その瞬間、アルディスのなかにそんな感情が浮かぶ。


いつもつまらなさそうに仏頂面だったのに……。


柔らかな表情を浮かべるその整った横顔に思わず見惚れそうになったその時……。


「……ふざけるな!!」


突然、辺り一帯に響いたその声。


「……なんだ?」


黒髪の騎士がそう呟くのが聞こえた。


さっきまでもめていた二人も、動きを止めて緊張感に溢れた顔をしている。


回りを見回すと、どうやら、少し離れたところで何か揉め事が起こっているらしい。


「……アルディス、窓と鍵閉めろ。カーテンも開けるな、覗くな」


イグナスからの低い声での言葉に、アルディスは素直に従った。