そんな呆れた視線を向けつつ、ブレンダはアルディスが心なしか固い表情をしていることに気がついた。
(アルディス様……?)
不審に思って注意を向けると、今来た二人の男にちらちらと落ち着かない視線を送っているようで……。
(クロースか……)
原因は、それしか考えられなかった。
このイグナスとか言う周りに無関心そうな男が何かするとは思えないし、どうせクロースが下手に声をかけてアルディス様を怖がらせたのだろう。
そう考えると、ふつふつと腹の底で燃えてくる、この茶髪のふざけた男への怒り。
……が、そんなブレンダには気がつかないようで、カルロは能天気な声でブレンダに質問してきた。
「ねえねえブレンダ、その梨、どこで売ってた?いくら?」
今すぐにでも殴りつけたい衝動と戦いながら、ブレンダは平静を装って答える。
「この通りをまっすぐ行った所の左手にある青果店だ……。値段は50ユン。行ってこい」
「おお、安い、行こうぜイグナス!!」
「おい、引っ張るな」
はしゃいだ声を出すカルロと、面倒そうにしつつ素直についていくイグナスがいなくなったところで、ブレンダはふうと息をつき、アルディスのもとへと歩いた。
「……あいつらは行きましたよ、大丈夫ですか?」
そう言うと、アルディスは一瞬驚いた顔をした後、気まずそうに視線をそらす。
「……大丈夫です、なんでもありません……」
そのアルディスの言葉に、表情に、ブレンダは衝撃を受けた。


