梨は丸々と大きく、確かに半分で十分そうだ。
アルディスが頷くと、ブレンダは梨に両手の指をかけ、ぐっと力を込めて綺麗に二つに割った。
鮮やかなその一連の流れをアルディスは目を丸くして見る。
オリビアがそんな風に果物を割るところは、見たことがない。
むしろ、あの梨というものは、普通あんな風に割れるのか……。
そんなことを考えている間に、ブレンダは懐から短刀を取り出して、割れた片方の皮を剥き出した。
手際の良さに感心していると、何を思ったかブレンダ突然視線を上げ、
「大丈夫です、この短刀は今回の任務のために新しく買ったものなので、まだ人は斬ってませんから」
「…………」
アルディスが答えあぐねているうちに、ブレンダは視線をもとに戻して梨の皮を剥きあげた。
「どうぞ」
差し出された梨を受け取りながら、どうすれば良いかと固まっていると、ブレンダはもう半分の梨を皮を剥かずに一口かじってみせる。
「この通り、お毒見させていただきました。みずみずしくて美味しい梨ですよ、アルディス様」
毒があるかを懸念していたわけではないアルディスは、慌てて一口ほおばった。
「……!!」
かじった瞬間、果肉の間から冷たい果汁が溢れだし、爽やかな梨の味が口いっぱいに広がる。
しゃく、しゃく、とそのままもう何口か食べ続けて、アルディスは感謝を言おうとブレンダの方を見た。
「お口に合っていたようですね。良かったです」


