姫はワケあり黒猫様




「今から家送ってくか?」



『うん、それでいいよ』



「………」




ぎゅっ、とお腹に巻きつく腕は紅羅のものだった。




横を向いて紅羅を見ると、仏頂面で私を見上げていた。





「………那琉と離れたくない」




『紅羅…』




可愛い………!




「紅羅、そんな我儘…」



遠矢が困った様に言いながら紅羅の首根っこを掴もうとした。





『………うち来る?』





そう言うと、紅羅は目をパチパチと瞬かせ、次の瞬間にはキラキラと輝かせた。






「本当?!



泊まっていいの?!」




『泊まるのは…親が心配するよ?』




「……大丈夫、俺、倉庫住まいだから」




自嘲気味に笑いながらぎゅっと腕に力を込めて私を抱きしめた。





『………そっか、じゃぁご飯作らなきゃだね』





笑いながら『楽しみだなー』と言うと、紅羅もニッコリと笑った。









「………待て待て待て待て」




響が急に私の頭をガシッと掴んで揺さぶった。




『いたっ、な、何‼』



「那琉、頭おかしいの?」




優はニコニコしながら冷たい目を私に向ける。






な、何?!





「男泊めるとかさぁ……バカだよね」




夕季も冷めた目で私を見る。




優も夕季も………揃ってなにさ…





「那琉、それはやめとけ。



あぶねぇから」




佳祐も笑いながらそう言って紅羅を私から引き剥がした。



ジタバタと暴れる紅羅は、お泊りを諦める気はない様で……




「皆で泊まればいいじゃんかぁ」





と、爆弾発言を投下した。








『……全員って、布団無いよ』




「え、そこ?!」



佳祐は呆れた様に私を見た後、紅羅をコラっと叱った。





佳祐、皆の母さんだ。





「いいね、お泊り。




楽しそうじゃない?」






優はニコリと笑って私を見つめた。






「いいよね?那琉」




……拒否権渡されてないよね、私。





頬を引き攣らせて優と見つめあっていると、玲が私の顔を覗き込んだ。







「……ダメか?」







うっ……そんな顔で私をみるなっ!





そ、そんな捨て猫のような……うぅ…






『…っわかったよ!



もうどうにでもなれっ‼』





そう言って玲の影に隠れた。