泣き止んだ紅羅は放心状態で、戸惑いながらもそこらにあったイスに座らせた。
「……那琉さ…」
『その声が本当の声?』
男の割には高く、女の割には低い声で私の名を呼ぶ紅羅の声は聞き慣れないモノだった。
「……うん」
赤く充血した目を伏せてただじっと座る紅羅は儚げで、今にも消えてしまいそうだった。
手を握ると、倍の力で返ってくる。
前なら、ありえないことかも。
紅羅は薄く口を開いて首を傾げた。
「俺、玲達と一緒に幹部に上がれて嬉しかった。
でも、他の奴は新人の俺が幹部になるなんて許せなかったと思う。
それで……頑張った。
皆に認めてもらえるように。
俺達の空間を守りたかったから。
………でも、お前が来た。
どれだけ頑張っても……敵わなさそうな、お前が。
お前が怖かった。」
……結局は、私じゃないか。
『……じゃぁ、消えればいい?』
「……」
『皆の前から居なくなれば、気が済む?』
なら、何処へでも行ってあげるよ。
目を細めて微笑んだ。
「……っざけんな‼
こんだけ居といて……勝手に出て行くことなんて許されるか…‼」
……うん。
でも、
時間が変わるだけなんだよ。
『……ありがとう。
紅羅はやっぱり優しいね』
「……別に」
そう言って、泣き疲れたのか寝てしまった。
……罪悪感が湧くのは
もう、心酔してしまってるから?
握っている紅羅の手に額を置いて苦痛に耐えた。

