「ここ。
まぁ、第一より狭いしあんま時間はかかんねぇと思うけど……」
『……私だけでやるから、いいよ』
既にばらまかれた様に散らばった本を手にとっている紅羅にそう言った。
紅羅は、ピタリと動きを止めて私を怪訝な表情で見た。
「……俺、留年になるの嫌だし」
『洸は私に甘いから………
私が帰らせたって言えば納得すると思う』
そう、洸は本当に強烈な過保護。
昔から今までずーっと私はそれに…どれだけ苦しめられたか……
うはぁ、思い出したくない。
目を閉じてブルッと身震いをする。
そんな私の体が、肩を押されてバランスを崩す。
「……ムカつく」
…やっぱり?
「自分はいい人ですみたいに振る舞いやがって。
マジでムカつく。」
今まで隠していた様な激しい負の感情を込めた目を私に向ける紅羅。
紅羅のそんな目にまた、胸がずきんと痛む。
「お前なんて……
居なかったらよかったのに……」
『……そうだね。』
紅羅の言葉に古傷を抉られるような痛みを覚えながらそれを紛らすかのように拳を強く握り締めた。
「お前が居なかったら……
皆、今まで通りだったんだ」
私の手首をギリギリと握って私を見て歯を噛み締める紅羅は、
目に薄い膜を張っていた。

