姫はワケあり黒猫様





……………




「那琉‼」



電話の後からは佳祐とお互い喋らなかったから、何となく静かな雰囲気が広がっていた。




玲の、私を呼ぶ声がして2人でその方向を見つめた。




今まで通りの優しい抱きしめ方だった。




なのに、






どこか荒々しい。








「……っ、何で逃げた…‼」



『っ…………』




「答えろ‼」


玲がぐっと体を離して私の肩をつかみ、顔を覗き込んでくる。



玲の顔をまっすぐに見て、前の優しい顔じゃなかった。



……怖いと、感じてしまった。



『や……』


「玲‼落ち着け‼」




佳祐が玲の肩を掴んで耳元でそう叫ぶ。





佳祐の大声に少し理性を取り戻したのか、舌打ちをして前髪を掻き上げた。





「……っ、倉庫行くぞ」



『……』



返事をしなくてもどうせ連れていかれるんだ。






なら、おとなしくしておいて、








捨てられればいいでしょ?










玲がここまで来たものらしき一台の車に3人で乗って倉庫まで向かった。