マンションの前には何もなくてどこか、心で寂しいと思ってしまった。
『……ナオ…』
無意識のうちに呟いていたのは、アイツの名前だった。
寂しいと、あいつの名前呼ぶってどーなんだろ…
顔をぺちぺちと優しく叩いて目をぱっちりと開ける。
『よし、私は今学生なんだから!
学生ライフ楽しまないと!』
片手を太陽にかざしてそれを見つめた。
……光はいつでもそこにあるはずなのに。
「那琉‼」
後ろからバタバタとした足音が聞こえて振り向くと、昨日見た……
『佳祐?』
慌てたように息を切らしながら私の腕を掴んで呼吸を整える佳祐を見て首を傾げた。
『佳祐、うちから家近いの?』
「は?何で?」
呼吸が整った佳祐は訝しげに私を見下ろす。
『ん?だって、私ん家と同じ方向から来たからさ』
「わざわざこっちまで来たんだろ、バカ」
私の頭を軽く叩く佳祐を冷たく睨みつけると倍の眼力で睨まれた。
「……お前、今日は自由が無いと思えよ」
『は?』
「…悪いけど、あぁなった玲は誰にも止められない。
全力で止めるけど……
1つだけ、覚えておけ。
自分で自分の首を締めているということをな……」
眉を歪める佳祐を見て、何となく…
蒼月の姫というのは、私の第二の足枷となる事が解った。
「玲?
あぁ……那琉、見つかった」
佳祐が電話で玲に話しているうちに私はぼうっと自分を改めて凡人だと感じた。
……凡人だから、こんな簡単な事も気づけないんだ。
私が拉致されれば一番被害が及ぶのは、蒼月だ。
……なら、私なんて要らないじゃないか。
何で……私を…………

