『声、掠れてない?』
「……別に」
「玲ー、そろそろ車出すぞー」
「待て」
電話の向こうで会話する声が聞こえたので、『切ろうか?』と聞いた。
「いや、いい。
今からお前ん家行くから、マンションの前に居ろ」
『……送りの次は迎えかっ!』
「は?」
玲は心底呆れた様な声を出したけど、私は溜息を吐いた。
『……いいよ、学校くらい歩いて行く』
「……黙って従え」
『私はあんたのイヌかッ‼』
「…なるか?」
『ならんわ、ボケ‼』
フッ、と小馬鹿にしたような笑いを零したのが携帯越しに聞こえて、携帯に力を込めたらギシッと音がなった。
『……バイバイ、じゃぁね‼』
「は?おーーーーブチッ
ふー。
悪魔、撃退。
いや、別に撃退はしてないな。
携帯の電源を切って、制服を脱ぎ捨てシャワーを浴びる。
……よかった、予備のブラウスあった。
それを着て、昨日とは違うぶかぶかのパーカーとブレザーを着る。
う、パーカーやっぱでかいな……
そんな事を思いながら放り出してあったスクバを肩にかけ、部屋から出る。
『……行ってきます』
この言葉を言うクセが無くなる日は、
くるのだろうか?

