姫はワケあり黒猫様








するりと、案外簡単に解けてしまう手にズキンと胸が痛んだが、もう離れないといけないということで頭がいっぱいだった。












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「社長…?どうなさいましたか?」




いつもの社員は私に温かい視線をくれるけど、それすら私には痛かった。






ふらりと社員の間を通ってエレベーターに乗り込み、最上階へ向かう。



エレベーターの機動音だけが胸をより一層掻き立てた。










「那琉………?」









部屋に居た成音。









成音の顔を見た瞬間、じわりと視界が歪んだ。









『な、んで………!










何で、何も教えてくれないの‼』











成音はフッと目を見開いてガタッと椅子を引いて立ち上がった。





「那琉っ……」







『知ってたくせに‼






皆の事故の原因となったあの人達の息子と接触しているとわかってたくせに‼






何で………!







何で‼何も教えてくれないのよ‼』









歪んでも、滲んでも、落ちることはなかった。