「那琉………」
名前を呼ばれてすぐに触れた温かさが、少し湿っているのに気づく。
あぁ、雨が降っていたのか。
いつから?
何時間もたってる?
………私の家族が、死ぬ前から?
家族が流した血は水に色を薄くされ、証明をなくした。
ただ、1つ。
成音の温かさだけが、私を繋ぎとめていたのは、違いなかった。
バシャバシャと何人もの足音が聞こえる中、成音の胸に顔を預けて泣くしかできなかった。
「こんな………」
「酷い………」
大人数人の声が聞こえた。
そのうち、その囁き声が集まりざわめきへと変化を遂げた。
「那琉ちゃん…っ‼」
「ーーーー……」
聞こえたのは、確かに悟さんと香利奈さんの声だった。
何も聞きたくなくて、耳をぎゅっと閉じて目をぐっと瞑って小さく縮こまった。
『………』
「ーーーー」
静かな啜り泣く声と会話の声が聞こえた。
気付けば2人の気配は消えていて、少しだけ耳の力を緩めた。

